とりあえずの記録

はじめは同学科の人向けのナレッジまとめでした

ワードクロックとは / 扱い方

(注) 本記事は,私が某組織内Wikiに作成した記事のアーカイブです.

ワードクロックとは

YAMAHA社 DM1000を使用するときに"Wrong Word Clock!"というエラー表示を目にしたことはないだろうか.本稿ではそのワードクロックについて解説する.

ワードクロックとは,音声信号をデジタル伝送する際に用いられる,送り手・受け手でタイミングを同期させるための信号である.

もっとかんたんに説明すると,「私はデータをこのテンポで送っています」という信号である.

もしこの信号がなかったら,受け手は送り手が送りたかったものとは異なる値を読み取ってしまい,正常に通信できない.

テンポの速さだけ伝えるのであれば,送り手と受け手の機材に同じ数字を入力すれば済むが,現実はそうではない.

なぜかと言うと,ひとことにテンポと言っても,
・1時23分0秒00から1秒ごとに刻むテンポ
・1時23分0秒50から1秒ごとに刻むテンポ
では,同じテンポであっても,タイミングにはズレが生じる.

そのため,基準のマシンから,デジタル接続している他の全てのマシンへとケーブルを使ってこのテンポ(クロック)を伝送してやる必要がある.

音響/映像業界で主に使用されているクロック信号の名前が,ワードクロックである.

デジタル送受信することができる機器では,機器内部でオリジナルのクロックを発することができるようになっており,また外部機器と同期させるために出力端子・入力端子(BNC)を備えている.
機器の設定画面で内蔵のクロックを使用するか,入力端子からのクロック信号を使用するかを選択できる.

具体的な設定については,一番下の"運用上の設定"を読んでいただきたい.

一般的にBNCケーブルで伝送するが,注意すべきポイントはその特性インピーダンスである.
普段我々が映像信号伝送のために使用しているケーブルは75Ωであるが,ワードクロック伝送においては50ΩのBNCケーブルを使用する必要がある.

(削除済み)

また,接続の終端では必ずターミネートする必要がある.
専用のターミネーターを末尾の機器の出力端子に取り付けるか,末尾の機器の出力端子近くの"ターミネートスイッチ"をONにすることでターミネートできる.
(特にクロック信号においては,反射波は絶対に防ぐ必要がある.)

(削除済み)

ちなみに,もし入出力の表記がなくクロックを扱う端子が1ポートしか無い場合は,T字分岐を使用し,空いたポートにはターミネーターを接続する必要がある.

AES/EBUとワードクロック

我々が使用する主なデジタル音声信号といえばAES/EBUである.
しかし,AES/EBUを使用する際,BNCケーブルは使用しない.
なぜ同期信号をBNCケーブルで送っていないのに正常に通信できるのか.
実はこれが(削除済み)七不思議の1つ音声信号と一緒にワードクロックに準じた同期信号がXLRケーブルに載せられているからである.

DM1000や01Vの設定画面(DIO,Digital Input/Output)の画面から確認することができるので興味があれば見てみてほしい.

運用上の設定

デジタル伝送を行わない時:INT(Internal,内臓の) 48kHz

デジタル伝送を行う時(送り手):INT(Internal,内臓の) 48kHz
デジタル伝送を行う時(受け手):接続した機器の項目を選択

YAMAHA 01Vでは48kHzが選択できない.これは,01Vに48kHzの発振子が搭載されていないためである.
01Vとその他機器とでどうしてもデジタル伝送したい場合には01VでINT44.1kHzを選択し,代わりに受け手の機器を44.1kHzに設定するか,BMD社Audio to SDI miniコンバータやWR-DA7V,その他拡張カードのSRC(SamplingRateConversion)機能を有効にすることで通信が可能となる.