とりあえずの記録

はじめは同学科の人向けのナレッジまとめでした

iDRACを用いたDell PowerEdgeのセットアップ方法

(注) 本記事は,私が某組織内Wikiに作成した記事のアーカイブです.

このページの記述は,iDRAC9 Enterpriseを想定したものです.
購入時,Dellの場合はiDRAC Enterprise,HPEの場合はiLO Advanced Licenceを選択していないと仮想コンソールからのリモートマウントを利用できません.ご注意ください.

準備

インストールしたいOSのISOファイルを手元の環境にダウンロードしておく.
国内ミラーサーバが存在する場合,そちらを利用したほうが速い.
(グローバルからだと2h以上かかるところ,10分以内に完了することもある.)

日本国内のダウンロードサイト | Ubuntu Japanese Team

また,サーバ本体に以下を接続する.

  • 電源 1 or 2本
    • 電源ユニット2本構成で購入し,冗長化して運用する場合は2本接続する.
    • 可能なら,担当部署が持っている配線図(分電盤の中に置いてあることも)を見て,異なる電源系統・異なるUPSを経由するよう接続する.
  • LANケーブル 1 or 2本
    • ホストのネットワーク接続用に1本
      • 10G NICを装備している場合は,誤ってオンボード側に刺さないよう注意.
    • IPMI用に,iDRAC (HPであればiLO) と印字されたポートに1本
      • これを接続せず,ホスト用から内部でブリッジさせる選択肢もある.
        デメリットが大きいのでおすすめしない.

管理画面 (OOB, IPMI) へアクセス

for 管理者

  1. DHCPサーバのリースなどを確認し,IPMIに割り当てられたIPアドレスを確認し,ブラウザでアクセス
    • もしNEC IXシリーズなら: ena → show ip dhcp lease
  2. サーバのフロントベゼルから情報カードを引っ張り出し,iDRACの初期パスワードが書かれたラベルがないか確認
    1. あれば,そのパスワードを使用してrootユーザでログイン
    2. なければ,購入時に「iDRAC,Legacy パスワード」を指定されている.(サービスタグをDellサポートページに入力し,右側のクイックリンクの「製品仕様を表示」から確認可能.)
      その場合のデフォルトパスワードは「calvin」.(出典)
      これを使用してrootユーザでログイン
  3. 画面の指示に従って,rootユーザの初期パスワードを変更
  4. 「iDRAC設定」→「ユーザ」を開き,
    1. 常用する自分のアカウントを作成
    2. 常用するユーザのアカウントを作成
    3. (rootアカウントを無効化)
  5. 「iDRAC設定」→「接続性」→「ネットワーク」を開き,
    1. 「共通設定」を実施
    2. IPv4設定」を実施
    3. DNS,ホスト名は必須でない項目も正しく入力する.さもなくば,Bad Gatewayでアクセスを弾かれるようになる.
    4. その他,自組織の環境に合わせて適切に設定する.

for ユーザ

管理者から受け取ったiDRACのURLを開き,受け取ったID/パスワードでログイン.

このとき,iDRAC用の証明書が設定されていない環境*1では「保護されていない通信」とエラーが表示されるが,詳細→閲覧する でアクセス可能.

ホスト名+ドメインでアクセスしたにも関わらず,IPアドレスベースのURIにリダイレクトされる場合は,

  1. 上部のメニューバーから「iDRAC設定」→「接続性」→「ネットワーク」→「IPv4設定」を開き,
  2. 「静的優先DNSサーバー」と「静的代替DNSサーバー」を正しく設定し「適用」を押下.

IPMIのパスワードを変更

  1. 上部のメニューバーから「iDRAC設定」→「ユーザー」→「ローカルユーザー」を開き,
  2. 自分のユーザー名を選択して「編集」を押下.
  3. パスワード欄に自分で生成したものを入力し,「保存」→「OK」を押下.

もし「iDRAC設定」が見当たらなければ,右上のハンバーガーメニュー(≡)から辿る.

ストレージの準備

そのままだと,ホストがストレージを認識せずOSをインストールできない.
まずは物理ディスクをRAID用に設定し,RAID 0として仮想ディスクを作成,RAIDコントローラ経由でホストが認識できるようにする.

物理ディスクの変換

  1. 上部のメニューバーから「ストレージ」→「物理ディスク」を開き,
  2. 操作したいディスクのアクション欄の「操作」→「RAIDに変換」→「OK」→「今すぐ適用」→「OK」を押下.

処理には1,2分ほどかかる.

  1. 上部にある「概要」の隣の「タスク」から,「ジョブキュー」を開き,
  2. 「Configure: RAID.〜」の右が「Completed (100%)」になるまで待つ.
    1. 必要に応じて,右上の「更新」でステータス表示を更新する.

仮想ディスクの作成

  1. 上部のメニューバーから「ストレージ」→「仮想ディスク」を開き,
  2. 「仮想ディスクの作成」→「基本設定」を押下.「保留中に追加」または「次へ」→「今すぐ適用」を押下.

処理には1,2分ほどかかる.

  1. 上部にある「概要」の隣の「タスク」から,「ジョブキュー」を開き,
  2. 「Configure: RAID.〜」の右が「Completed (100%)」になるまで待つ.
    1. 必要に応じて,右上の「更新」でステータス表示を更新する.

OSのインストール

  1. 上部のメニューバーから「ダッシュボード」を開き,
  2. 右下にある「仮想コンソール」の画面を押下.
  3. 上部の「仮想メディア」から「仮想メディアの接続」を押下し,
  4. 「CD/DVDをマップ」の「Choose File」からインストールしたいOSのISOファイルを指定し,
  5. 「デバイスのマップ」を押下して右下の「閉じる」を押下.

以後,画面の表示に従ってOSをインストールする.
例:キーボードの「X」→「One-shot UEFI Boot Menu」→「Virtual Optical Drive」→「Try or install Ubuntu」→...

仮想メディアはネットワーク越しにマウントしているため,状況によってはかなり動作が重たい.真っ黒な画面が続いたり,くるくるがなかなか終わらなかったりしても,10分くらいは待とう.

インストール後は,自身の端末のSSH公開鍵を登録しておくとLANからSSHでログインできる.公開鍵の登録には,「ssh-copy-id」「ssh-import-id-gh」コマンドを利用すると便利.詳しくは調べてください.

注意
仮想コンソールの画面を閉じると,リモートマウントが解除されてインストールが強制終了します.OSのインストールが完了するまで,うっかり閉じてしまわないようにご注意ください.

仮想コンソールに対するVNC接続の有効化

有効な証明書を使用しないため,ログイン時に1Passwordの自動入力を使用できない.
都度ログインするのも面倒なので,仮想コンソールにVNC接続できるようにする.

OS内でセットアップするVNCと異なり,iDRACのVNCではBIOS画面なども操作できる.(仮想コンソールと同一)

  1. 上部のメニューバーから「設定」→「仮想コンソール」を開き,
  2. VNCサーバの有効化」を「有効」に切り替え,
  3. VNCパスワード」および「パスワードの確認」にパスワードを設定し→「適用」を押下.
  4. 普段使用するPCにRemminaをインストール
    sudo apt update && sudo apt install -y remmina
  5. 左上の新規追加ボタンをクリック
    1. Name を任意の名前に変更
    2. Protocol を VNC に変更
    3. Server に iDRACのURLを入力
    4. Username に iDRACのユーザ名を入力
    5. Password に 先ほど設定したVNCパスワードを入力
  6. 下部の「Save and Connect」をクリック
  7. Remminaのアイコンを右クリックして,Add for favoritesでタスクバーに固定しておくと便利

IPMIの便利な機能

これまで直接本体に触れなければできなかったこと(電源ON, 強制シャットダウン,リセット,...)は,ほぼすべてこのiDRACの画面から操作できます.

いちいちボタンを押したりUSBメモリを差したりしなくてよいのが嬉しいですね.

*1:設定されている環境ってあるの...?