この度,JPNIC様の国際会議参加支援プログラムにご採択いただき,IETF 117に現地参加させていただける運びとなりました.
初めての渡米,初めてのIETF Meetingということで,可能な限りの情報をここに残しておきたいと思います.
このページでは,渡航後2日目の情報を記します.
その他の記事は以下よりご覧いただけます.
朝ごはん
6:30に目を覚まし,向かったのはPosh Bagel.
私がアメリカで絶対に食べたいと思っていた食事の1つです.
ここではどのベーグルに何を挟むのか自由に選ぶことができます.
ぜひGoogle Mapsのレビューをご覧になってください.
今回私は,たまご・チーズが挟まったセット(名前は忘れました)を頼みました.
ベーグルの種類も選べることを知らなかったので,おすすめは何かと尋ねてセサミを選択.
期待していた通り,とっても美味しかったです.
ここはどこかのタイミングでもう1回行きたかった!
ホテルに戻って,Registration
お腹を満たしたら,ホテルに戻ってIETFのRegistrationを行い...たかったのですが,まだ時間になっていなかったので自室へ.
ちょうど前週がドタバタでスケジュールを把握しきれていませんでしたので,ゆっくり腰を据えて1週間の流れを整理することにしました.
結果,こんな感じに.もちろんこの通りに進んだわけではないのですが,暫定的に見通しを建てることができました.
そうこうしていると10:00になり,Registrationも始まりましたので会場に向かいます.
なぜか私のネームプレートが見つからず,少々時間を要しました.
扱える言語や,社会的距離に対する考えを示すバッジが用意されています.
パッと見の印象で「お,日本語通じるかな?」と話しかけてみると台湾からいらしている方だった,なんてこともありましたので,こういったグッズは助かります.
IEPG (Internet Engineering and Planning Group) ミーティング
IETFのコンテンツが始まる前に,IEPGミーティングというものが行われていましたので,足を運んでみました.
JPNIC様の用語集では,以下のように解説されています.
IEPGは、インターネットがグローバルに相互接続性を持って運用されるための調整を行うインターネットオペレーターのグループです。
Agendaはこちら.
私が聴講したのは以下の2つです.
なお,特にこのミーティングに関してはほぼ予備知識のない状態で聴講しております.
私の理解や解釈が誤っている可能性も充分考えられます.
お気づきの点がございましたら,本記事下部のコメント欄よりご指摘頂けますと幸いです.
(はてなIDでログインいただく必要がございます.)
Enhancements to BMP implementation in FRRouting
日訳:FRRoutingへのBMP実装
OSPFなどを容易に試せるFRRoutingというソフトウェアがあり,これにBMP(BGP Monitoring Protocol)を実装しているよという紹介&進捗報告でした.
以下のページの解説が分かりやすく,理解の支えになりました.
ネットワーク勉強の続き - 2: FRRouting(FRR)/OSPF入門
BGP Attribute Escape
日訳:BGP属性の漏出
https://datatracker.ietf.org/meeting/117/materials/slides-117-iepg-sessa-bgp-attribute-escape
BGPパス属性が意図しない範囲に伝播してしまうことがあるようです.
こちらへの対応をBGP RFCで明文化しないか,という趣旨だと解釈しました.
非常に理解が怪しいです.詳しくは上記スライドをご参照ください.
New Participants' Overview
IEPGミーティングが終わるのが12:00,次のミーティングが行われるのが12:30という非常にタイトなスケジュールです.
昨日の残りでサクッと昼食を済ませ,そそくさとNew Participants' Overviewへ向かいます.
IETFに初めて参加する人向けのチュートリアルのようなものです.
などについての説明がありました.
急にIETF Humの練習が行われて,びっくり.
[参考] IETF Humとは
最近はMeetecho上の投票機能によって取って代わられつつあるようですが,旧来よりIETFではミーティングの場における合意形成に「ハミング」を用いているのだそうです.
参加者の多くはベテランエンジニアですので,フンフンフ~ン♪ と軽快なものではなく,フン----⤵といった感じのようです.結構シュールですよね.
Hackathon Results Presentations
https://github.com/IETF-Hackathon/ietf117-project-presentations
IETFでは「実際に動くコード」を重視する文化があります.
そこで,様々なテーマを持ち寄って興味を持つ人達で実装を進めようという趣旨で,WG Meeting開始前の土日にハッカソンが行われています.
今回私は時間の兼ね合い(そして技術力の不安)からハッカソン本体には参加しませんでした.
しかしどのようなことが行われているのかは気になりますので,成果発表は聞いてみることに.
ハッカソン会場でそのまま発表が行われ,聴講席はありませんでしたので自室よりMeetechoにて拝見しました.
みなさん難しいことをしておられる...と眉間にしわを寄せて拝見していると,なんと日本人のお若い女性の方が.
GMOサイバーセキュリティ byイエラエ株式会社 酒見様でした.界隈では「暗号のお姉さん」と呼ばれているそうです.
Welcome Reception
そうこうしていると,いよいよWelcome Receptionの時間です.
いわゆる立食パーティですね.
日本人も数十名いるはずなのですが,なにぶん全体の参加者が多くてなかなか見つからない.
木村様が様々な方をご紹介くださり,なんとかご挨拶をさせていただきました.
ありがとうございました.
このとき,
- 何をしている人なのか
- 何のために(何の目的で)IETFに来たのか
- 特にどのWGに関心を抱いているか,それはなぜか
あたりはさらっと喋れるようにしておくと,会話をよりスムーズに進められたなと感じました.
お互いに知見をもっている範囲のお話だとより盛り上がりますので,学生であっても名刺があると役に立ちそうです.
Hot RFC Lightning Talks
話に花の咲き出した頃,別の会場でHot RFC LTが始まりました.
Welcome Receptionが2時間あるのですが,開始からちょうど1時間経つともう始まりますのでドタバタです.少々遅刻しました.
ここでは,いわゆる "アツい" RFCがいくつか取り上げられます.
IETF Meetingに興味の湧いた方は,まずこちらの発表をご覧になるとよいかもしれません.
どういったレベル(深さ,広さ)で話があるのかをなんとなく掴めた気がします.
アーカイブ映像はこちら.
IETF117-HOTRFC-20230724-0100 - YouTube
なお,英語に抵抗がおありの方や,パパッと読みたいよという方は少々お待ちください.
おそらく後日木村様が,とても分かりやすい資料を上げてくださるかと思います.
https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/ietf.html
とはいえ,せっかくですので私も気になったものを取り上げてみます.
Encrypted Client Hello Deployment Considerations
日訳:ECHの普及に向けての懸念事項
Encrypted Client Helloとはその名の通り,TLSにおいて用いられるClient Helloを暗号化しようという技術です.
もう少し掘り下げると,Client Helloに含まれるServer Name Indicationを暗号化することで,「どのサーバに対して通信を開始しようとしているのか」を秘匿しよう,というものです.
悪意のある人や情報統制を行う国家などにアクセス先を知られないために,非常に有用な技術に思えます.
しかし,必ずしもそういった目的にのみClient Helloの情報を利用しているかというと,そうではないようです.
実際にClient Hello内の情報を用いてフィルタリングなどを行っているアプリケーションは存在しており,これが動かなくなると困るという方々もいらっしゃるわけですね.
ただ,発表を聞く限り,善良な目的のためにClient Helloを見ている実装は他の方法で代替することができるそうです.
そうは言っても,実際にデプロイするにあたって障壁となることは事実である(だから,そのあたりも考慮しつつ策定を進めていく必要がある)という趣旨だと解釈しました.
Steak Dinner :)
Hot RFC LTが終わると時刻はもう20:00.立食パーティで軽食をつまんだとはいえ,お腹の空く時間帯です.
嬉しいことに,お食事に連れて行ってくださいました.
これが本当に美味しくて...!
一切の誇張なしに,これまで生きてきた中で最も美味しいお食事でした.
Appetizerで頂いたビーフパテ(?)はこれまで口にしたことのない食感・味.
うまく言葉にできませんが,あれは無限に食べられます.一緒に提供されたチップスやソースとの組み合わせも試しながら,美味しい赤ワインも頂いて.
そしてメインのステーキはとてもやわらかく,ちょうどよい加減のシーズニングが施されています.ひとくち食べると,もう顔が綻びます.
そしてしっかり量がありまして,まさに夢の中にいる気分でした.
デザートにさっぱりとしたレモンのジェラートをいただき,最後には初めての食後酒.
薄暗く落ち着いた雰囲気の店内に,ここは本当にアメリカかと疑いたくなるほど丁寧な応対をしていただけるウェイターさん.
何もかもが最高でした.
食事を終える頃には辺りは真っ暗.街頭の光はありますが,ホテルまでの経路にテンダーロイン地区を含んでおり,徒歩や公共交通機関の利用には危険が伴います.
Lyftを呼んでホテルまで戻ることになりました.
するとやってきたのはまさかのTesla!
ドライバーさんとの話もはずみ,EVならではの加速も体感させてくださいました.
at Lobby Bar
ホテルに戻ると,ちょうどロビーにはNTTComのMさまを始めとする著名な皆さまが勢ぞろい.
少しだけご一緒させていただき,この日は夢見心地な気分で床につきました.
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